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ギリシャ、税金を納めさせることが出来ないのに社会保障を増大させる国
2015/03/03 20:02  コメント (0)
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  • ギリシャの苦しい政治が続いています。未回収の税金が大量にある中、更に社会保障を強める方向に政治が動こうとしているようです。誰でもわかることですが、これはかなり無茶な提案です。果たして、西欧文化の誕生の地と尊敬されてきた国はどこまで落ちていくのでしょうか。



    【アテネ】ギリシャが近年直面しているあらゆる難題の中でも最も難しいものの一つとみられているのが、市民に税金を支払わせることだ。

     2014年末時点で、何十年間にもわたって発生しているギリシャ市民の税金未納額が約760億ユーロ(約860億ドル、約10兆2600億円)に達している。政府はこのうち回収できるのがわずか90億ユーロで、その他の未納額の大半は支払い不能になっていると述べている。

     さらに、ギリシャの巨大な地下経済の決して申告されない収入にかかるべき何十億ユーロもの税金を徴収できないでいる。この地下経済の規模は危機前、国内総生産(GDP)の4分の1以上と推定されていた。

     国際通貨基金(IMF)とその他の債権国は長年、ギリシャ政府が税逃れを取り締まるだけで債務危機はおおむね解決できると主張してきた。経済協力開発機構(OECD)によれば、ギリシャの税金未納は年間税収の約90%に相当しており、先進諸国の中では最大だという。

     ギリシャ新政権は24日、短期資金を確保しようとして、税金の徴収を改革案リストの最優先項目とすることに同意した。しかし、これまでの歴代政権も同様の約束をしたが、十分な成果を上げたことはない。

     ギリシャの税率は欧州の他の諸国とおおむね同じだ。しかしギリシャ人たちは総じて国家に支払わなければならないカネ、つまり税金の支払いを嫌う。このような姿勢は、文化的、歴史的な複合的要因のためだ、としばしば指摘されている。ギリシャがオスマン・トルコに何世紀にもわたって占領されていた頃、税金逃れは愛国主義の一つのサインだった。今日、このような不信感は自国政府に向かっており、政府は腐敗し、非効率で、信頼できないとみなすギリシャ人が少なくない。

     アテネ大学のアリスティデス・ハツィス准教授(法学、経済学)は「ギリシャ人は税金を(国による)窃盗とみなしている」と明かす。「通常、税金は国家に支払わなければならない公正な対価だとみなされているが、ギリシャ人のメンタリティーはこれを受け入れていない」と言う。

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    ギリシャ政府が返済しなければならない負債とその時期

     実際のところ、大半のギリシャ人は税逃れは重大な犯罪とはみなしておらず、捕まることに恥辱感はほとんどない。これは他の欧州諸国とも米国とも異なっている。

     ギリシャの税逃れの大半は、日常生活の小さな取引において発生している。

     アテネの32歳のレストランシェフは、所得税は自動的に毎月の給与から控除されている。しかし何かを購入する時、領収証を求めなければ支払額が少なくなると店から言われる度に、彼はそうするという。

     彼は「これはウィンウィン(自分も勝ち、相手も勝つ)の関係だ」と述べ、「わたしは購入する商品に少なめの代金を支払い、店は少なめの税金を支払うのだ」と説明した。

     課税に対するギリシャ人たちの生来の抵抗感は、現在政権を担当している急進左派連合(Syriza)が選挙期間中、前政権の提唱する増税に反対した理由の一つにもなっている。同連合は「わたしは支払わない」と呼ばれる草の根の納税反対運動を支持することまでした。

     例えば、前政権は論議を呼んだ新不動産税を導入した。この結果、昨年は不動産の税収が2009年から7倍増えて35億ユーロに達した。しかし左派連合やその他の批判者たちはこの税金を不公平だと攻撃し、多くのギリシャ人が昨年末に支払いを停止した。新政権がこの税金を変更すると踏んだからだった。

     政府の税収は1月だけで目標(45億ユーロ)を23%下回った。

     先週、政府は個人の税金未納額の最大50%を免除する計画の概要を発表した。選挙運動中の公約に盛り込まれていた施策だ。

     こうした政策を後退させ税金の徴収を厳しくすれば、急進左派連合は、自分たちの政権奪取を支持した当の市民による蜂起のリスクに直面するだろう、と政治アナリストたちは警告する。

     政府内部でも、急進左派連合は税を厳しく取り立てるリスクは負えないという主張が強い。

     その理由は、単に政治的ではなく経済的なものだ。ギリシャの深刻な不況は既に多くの小企業を破たん寸前に追い込んだ。彼らにもっと税を納めさせれば、倒産がさらに増えるし、失業者が一段と増えるだろう。

     ある政府高官は「政府がこうした人々に納税を強制すれば、ギリシャ経済は破たんするだろう」と述べた。

     同国では富裕層が特に納税しないと指摘されことが多いが、税逃れの圧倒的多数は中小企業など所得の低い層で発生している、と政府当局者は言う。

     ギリシャの税制改革支援のためアテネに派遣された欧州当局者は、「大半の小企業は彼らが決して監査されることはないと知っており、納税について思い煩うことはない」と述べた。

     多くの企業は、賃金への課税を抑えるため、従業員に最低賃金を支払っていると申告するが、ひそかに従業員に賃金を補充している。

     アテネ郊外のある小さなホテルの女性オーナーは、繁忙な夏季シーズンは従業員3人に対する賃金を倍増すると述べている。彼女によると、この取り決めはあらゆる人に恩恵を及ぼす。従業員は賃金が増えるし、オーナー、従業員の双方とも納税額は増えないからだ。

     同オーナーは「彼らに年間を通じてもっと多くの賃金を支払わなければならないとすれば、わたしは3人のうち1人解雇しなければならない」と語った。

     賃金を増やす代わりにレストランや小売店で使えるクーポンを提供する会社もある。「課税されないので、われわれにはずっとありがたい」と、会社からこうしたクーポンの支給を受けている28歳の会社員は語った。

    via: ギリシャ、国民に税金払わせようと苦慮 – WSJ

     

    【アテネ】欧州連合(EU)による金融支援の4カ月延長をめぐって与党内の反発に直面しているギリシャのチプラス首相は27日、一連の大衆迎合的な政策を発表した。選挙公約を果たすことにはなるが、欧州の債権国から反対される可能性がある。

     チプラス首相は、貧困対策と個人の税負担軽減のため、政府が5つの法案を来週提出すると述べた。法案は、貧困層の30万世帯に電力と食料を無料で供給したり、納税が遅れている人の支払い期間を延長したりする内容だ。

     首相はまた、急進左派連合(SYRIZA)内の反抗的な左派派閥から信任を得るため、一連の象徴的な改革案も発表した。自宅差し押さえの凍結、国営テレビ元従業員の再雇用、議会によるギリシャ債務危機の調査などだ。

     首相は就任してまだ1カ月だが、苦しい立場に置かれている。この日の閣議で「われわれの前には、バラバラになってしまった国、打ちのめされた人々を立ち直らせるという厳しい戦いと非常に大きな難題が待ち受けている」と述べた。「それに立ち向かうことがわれわれの大きな義務であり、基本的な責任だ」

     チプラス政権が改革法案を打ち出すのは、ユーロ圏諸国と支援延長で合意してから初めて。改革案は、債権国と合意するまで一切の新たな措置を実施しないという約束に反する可能性がある。ギリシャは反貧困プログラムの財政的影響をその他の支出を削減することで相殺すると約束したが、そうした削減についてはまだ詳しく説明していない。

     ドイツ連邦議会では同日、チプラス首相の発表に先立ち、ギリシャ政権が予算削減や財政構造改革といった債権国に対する義務を果たすつもりがあるのかという懸念をめぐって議論があった。議会は最終的に、ユーロ圏による2400億ユーロ(32兆円)規模のギリシャ金融支援を6月末まで延長することを賛成多数で承認した。

    via: ギリシャ首相、大衆迎合的な政策を発表 EU側が反発か – WSJ

     

    情報整理

    さて、二つの記事を引用したので簡単に情報を整理しておきましょう。ごく簡単にいうと、ギリシャの政治経済はボロボロで国民は政府を信用していないので税金を払わないことへの罪悪感も小さくなってしまっているということです。

     

    また、そんな状況に対してなんとかしようと税金の支払いの催促を緩めたり、更に貧困対策のために電力と食料を無料で供給するなどの政策が新首相によって取り組まれているものの、その財源はどこから来るのかとEUからも叩かれているような状態です。

     

    欧州連合という「共同体」

    欧州連合=EUという共同体は、国際政治においてはまるで奇跡のような存在でした。17世紀以降、国家と国家の間での主権の尊重が公的に宣言され、競争するにせよ協働するにせよ国家という単位が大きく変わることはありませんでした。

     

    しかし、それにより戦争のような形で敵対することも少なくはありませんでした。そのため、この欧州連合の前身となる欧州石炭鉄鋼共同体が1950年に作られ、現在のように金融まで統合した世界史上類を見ない共同体が誕生したのです。

     

    しかし、それはまた「国家」という一つの単位からの離別を意味します。国家にとって重要な決定を行う時、主体は常に政府と国民でした。しかしEUの中では金融政策を行うにせよなんにせよ、他の連合国との協調の中で行われなくてはならなくなってしまったのです。

     

    うまく行っている時は良かったのですが、現状に不満を持っている欧州人が多いのは事実でしょう。がんじがらめに制限をされているギリシャ国民はもちろん、その不景気の影響によって被害を受ける連合国にもそう思っている人が少なくありません。

     

    ギリシャの今後

    果たしてギリシャの今後はどう動いていくのでしょうか。少なくとも数年で簡単に立て直せる状態だとは到底言えないですが、しかしEUからの離脱があるとも考えにくいです。統合するのも大変な苦労があったので、簡単に離脱の方向へは動けないはずですし、実際のところギリシャは欧州連合からの援助を頼りにせざるを得ません。

     

    ここで欧州連合から離脱するような選択肢を取るのは酷い悪手だと言えるでしょう。財政の健全化と、税収の確保のための「脱税しようとする人を前提とした」システム構築が求められます。

     

    結論

    とはいったところでこんなものはすべて理想論。実際にはギリシャそのものとは別の国際経済的要因によって、それなりに持ち直した頃には政府への不信も弱まり税収がある程度安定して、なんとなく経済は続いていくことでしょう。

     

    国民、国家というのはどんなに新聞で煽ったところで簡単に破綻してしまうものではないのです。というか欧州連合に入っている限り、なんとかその状況を避けるように周囲も全力で動くでしょう。

     

    ゴネたもん勝ち、という風に言えてしまうことが、イタリアやギリシャが欧州でお荷物だと思われてしまうことの原因かもしれません。

     

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    カテゴリー 社会 芦山悠太

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