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京都府八幡市児童傷害自動車事故判決はキチガイ判決か

 京都府八幡市で昨年9月、多数の児童に傷害を負わせた自動車事故は、非常に痛ましい事故でした。先日、この事故に関する判決が出ました。その判決は、ネットの掲示板等で多くの人たちに「キチガイ判決」と呼ばれています。その理由は、裁判所が危険運転傷害罪を適用せず、より罪の軽い自動車運転過失傷害罪を適用したからです。

 

 多くの人たちはキチガイ判決と呼んでいますが、はたして本当にそうなのでしょうか。この判決を理解するには少しの法的知識が必要となります。簡単に少し解説します。





刑事裁判の基礎知識

 まず刑事裁判においては、検察官が裁判所に被疑者を罰してもらうよう訴えます。これを起訴といいます。 簡単にいうと、検察官が裁判所に対して被疑者は~の罪を犯したので被疑者を罰してください、証拠もあります、ということです。

 

 ここで、刑事裁判には「疑わしきは被告人の利益に」という原則があります。「推定無罪の原則」ともいいます。無罪が推定されるのですから、検察官としては犯罪の成立を主張立証して無罪の推定を破らなければなりません。言い換えると、検察官には犯罪を立証する責任があるといえます。 これは裏返しにいうと、検察官が立証に失敗すると犯罪は不成立ということになります。

 

 もっとも、犯罪の成立が微妙な事案だと検察官としては「立証に失敗して犯罪不成立、よって無罪」という結論は避けたいところですから、 予備的に他の犯罪も成立する可能性も考慮して、同時に主張立証することがあります。

 

今回の事故に関する裁判・・・検察の敗北?

 今回の裁判は、まさにこのパターンだったと言えます。つまり、検察官は「危険運転傷害罪」または「自動車運転過失傷害罪」の少なくとも一方は成立するはずだとして、主張立証したものと考えられます。

 

 この事件で、なぜ検察官は二つの罪について主張立証したのか。先ほど述べたように、本件はまさに犯罪の成立が微妙な事案だったのです。

 

 やや細かい話ですが、危険運転傷害罪が成立するためには、検察官が「被告人が進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させた」ことを、主張立証しなければなりません。記事を読む限り、裁判所は検察官が立証できていないと判断したようです。

 

14日の判決で、京都地方裁判所の後藤眞知子裁判長は「公道で無謀にもドリフト運転を試み、失敗して起こした事故で、最も悪質な部類に入る。以前からドリフト運転を繰り返していることからも、起こるべくして起こった事故だ」と指摘しました。
その一方で、「車の制御ができないほどスピードが出ていたとは認められず、危険運転傷害罪にはあたらない」として、自動車運転過失傷害の罪を適用し、少年に懲役2年6か月以下を言い渡しました。

via: 危険運転傷害にあたらず 京都地裁 NHKニュース

 

見方を変えて言うと、検察官は立証に失敗したのです。言ってみれば、検察官の敗北です。

 

悪いのは判決というより検察

そうすると、もし、判決に納得がいかないというのであれば、判決を批判するよりは、犯罪の立証に失敗した検察側を批判したほうがいいと思います。 もっとも、この罪についてはもともと立証が困難な犯罪であると警察実務サイドから言われていたところではあります。 仮にそうだとすれば、判決を批判するより法改正を求めたほうが、より建設的であるかと思います。

 

 いずれにせよ、裁判所は、危険運転傷害罪の成立は認めませんでした。

 

もっとも、裁判所は、被告人に過失=不注意があったとして、自動車運転過失傷害罪は成立すると判断し、その成立を認めています。

(ちなみに、ドリフト走行自体は安全運転義務違反として道交法に基づき三月以下の懲役又は五万円以下の罰金に処せられます。)

 

判決の結論と理由をよく考えるということ

 このように考えてみると、裁判所の出した判決について、結論だけを見てキチガイ判決と呼ぶには、いささか強い疑問を感じます。裁判所が判決の結論を導くには、それ相応の理由があります。検察官の不手際によるものなのか、法制度の欠陥なのか、はたまた、本当に裁判官の判断がおかしいのか。その理由を探求して初めて、判決を批判できるのではないでしょうか。

 

 国家機関たる裁判所が、キチガイ判決と呼ばれるような判決を安易に出すわけがありません。今回の事故は、多数の児童が被害に遭っていて、非常に悲しいものです。だからといって、その感情に引きずられるのは良くありません。

 

 事故に対する判決は厳しいものでなければならないと考えるのは自然な感情ですが、私は法と証拠に基づいた上で重い罪ではなく軽い罪の適用を認めた本判決は「キチガイ判決」であるとは言えないと思います。

 

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コメント

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  • コメント (8)
    • キジトラさん
    • 2014年 10月 16日

    なげぇよ
    3行でまとめろ

    • キジトラさん
    • 2014年 10月 16日

    俺もほとんど同感。たたく場所がずれてると思う
    日本だけじゃないけど、誰がどういう枠組みでどういう機能をもってるか、そんで自分は何の上に立っていてどんな責任と権利をもっているかが分かっていない人が多すぎると思う。

    すべての交通状況のログをのこすのは現実的じゃないし、この手の事故を事後的に証明するのも疑問が残るからメーカーにこの手の挙動ができないような車をつくるよう働きかけるのが無難だと思うけど。飲酒の件も含めてね。

    • キジトラさん
    • 2014年 10月 16日

    推定無罪が原則になってるのに、痴漢なんかは推定有罪だからな。
    現場にいない人間すら痴漢の犯人になるぐらいだし、もう原則が崩れてる。
    冤罪被害者は人生終わるぐらいの罰を受けるし。

    • キジトラさん
    • 2014年 10月 16日

    >メーカーにこの手の挙動ができないような車をつくるよう働きかけるのが無難

    この手の装置はメーカーもかなり力を入れて研究開発を頑張ってやってるよ。(ESC等のスタビリティコントロール装置類)
    もちろんドリフトをさせないって言う目的じゃなく、緊急回避時等にスピンして制御不能にしない様にする目的ですけど。
    まあドリフトって意図的にスピン状態にしてコントロールする走法だから結果的には少しだけ防止はする。
    でも改造でESCを無効化されたり、ESCの制御能力を超えた動きを意図的にされたらどうにもできない。

    • キジトラさん
    • 2014年 10月 17日

    「裁判官の説諭・訓戒は必要なのか?」という記事の時にも感じたんだけど、ここって弁護士目線のような書き方をするよな。
    何となく被告人寄りというか…
    この判決自体がどうとかってことじゃなくてね。
    ま、別にどうでもいい事だけど。

    • キジトラさん
    • 2014年 10月 17日

    そりゃサヨクは反体制、弱者の味方だもん

    • キジトラさん
    • 2014年 10月 18日

    ネットでの評価を踏まえた記事とはいえ、「キ○ガイ」まで踏襲しなくていいのに

    • キジトラさん
    • 2014年 10月 28日

    ※5
    別に普通のことしか言ってないよ
    これを被告人寄りと感じるなら、君にはそれこそ刑法、刑事訴訟法の基礎知識がないんだよ

    ※6
    自分と違う意見は左翼右翼とレッテル貼りして、
    まるで論破したかのような気分に浸る
    本当、おめでたい脳味噌だな

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