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フランス、シャルリー・エブドのテロ事件と表現の自由

シャルリー・エブドテロ事件

フランスの出版社シャルリー・エブドを襲ったテロ事件以来、表現の自由の意義が改めて議論されるようになっています。

 

「テロは許されない」。これに対して異論はほとんどないようですが、少数派が信仰している宗教を「侮辱」するような風刺画を発表する自由はあるのかどうか、って点についてはネット上などでも様々な意見が飛び出ています。

 

わたしは、侮辱的・攻撃的(差別的)な表現であっても、一応表現の自由の保障範囲内にあると考えます。ただし、政治的な言論と比べると、保障される度合いが低くなる。



表現の自由

今回の問題については、表現の自由は、どうして厚い保護を受けているのかっていうそもそも論から考察すべきだと思います。

 

憲法の教科書なんかでは、表現の自由は…

 

 

  • ・自己統治の価値:表現を通じて、政治的な意思決定に関与するという、民主的政治に資する価値
  • ・自己実現の価値:表現を通じて、自己の人格を発展させていくという個人的な価値

 

 

の2つがあるから、厚く保障されるのだ、と解説されています。

 

最近では、「思想の自由市場論」という観点も重要になっています。多様な意見が交わされて淘汰されていく中で、真理が見いだされ社会が進歩していくっていう考え。これら3つの意義がない表現・言論の場合には、相対的に価値が薄くなって保障の度合いが低くなっても仕方ないのではないでしょうか。

 

シャルリーの風刺画についてあてはめてみると…

イスラム教はフランスの中ではマイノリティで、キリスト教のように政治に影響を与えているわけでもありません。ですから、民主的な政治云々とは関係ない内容の表現であって、自己統治の価値はないといえるでしょう。

 

特定の宗教を皮肉ることによって、人格の発展が促されるとも考えにくいので、自己実現の価値もなし。

 

思想の自由市場論の文脈で考えても、少数派の思想を風刺にすることで真理が見いだせるとも思えません。マスコミVS少数派の宗教ってことで、思想の自由市場自体が成り立たっていない状況だともいえるかもしれません。

 

マスコミが社会的な権力となってしまっている現在、旧来の価値観で表現の自由を語ることができなくなっている感じもします。このあたりの違和感については、法政大学社会学部准教授の津田正太郎氏が指摘しています。

 

民主主義のもとでは選挙という有権者の洗礼を政治家は受けている。他方、マスメディアには市場の淘汰があるぐらいで有権者から何かを託されたわけではない。放送メディアの場合、放送免許の壁に守られて市場の淘汰からすらも守られていると言えるかもしれない。

 にもかかわらず、マスメディアはそれが攻撃する対象に社会的制裁を与える力を持っている。この観点からすれば、政治家とマスメディアとが対立したばあい、前者を弱者として擁護する一方、後者を権力として批判する動きが出てきても不思議ではない。

 もちろん、政治権力による言論弾圧を重視する従来の見方からすれば、こうした発想は倒錯しているとしか言いようがないだろう。マスメディアの歴史は言わば政治権力による弾圧に対抗する歴史なのであり、戦いのなかで「表現の自由」は勝ち取られてきたのだから(小糸忠吾『新聞の歴史 権力とのたたかい』新潮社など)。

「人民 vs 権力者」というフィクションの終焉

 だが、時代は変わる。その変化のなかで、弱者としてのマスメディアが強者としての宗教権力や政治権力と対立するという図式は説得力を失ってきた。だからこそマスメディアの「表現の自由」に対する支持も失われてきたのではないだろうか。

 

via: 「表現の自由」の終焉?

 

で…保障される度合いが低くなるとして、具体的にどのような帰結となるのかって部分について。攻撃されてもやむを得ないというようなテロを肯定する意見はさすがに認められないでしょう。ただ、表現の自由を盾にして自己を正当化する場合、少々説得力が落ちてしまうってのは間違いないのかなぁと…。反テロの声が強まるのはわかりますが、表現の自由を守れって声が強まっている点については、やっぱり違和感がある。それって価値が低い表現なんじゃないですか?

 

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