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世田谷区が「国籍・民族・LGBT」に対する差別を禁止する方向へ条例成立

日本の東京都を中心に最近素晴らしい取り組みがいくつもなされている。世田谷区は包括的な取り組みに向けて動き出したようだ。苦情処理という形ではあるが極めて先進的である。



Getty Images

 

国籍・民族の違いを理由にした差別や、性的少数者(LGBT)への差別など、包括的な差別の解消を明記し、苦情処理を規定した東京都世田谷区の条例案が、3月2日の区議会定例会本会議で、賛成多数で可決、成立した。4月1日から施行される。

罰則はないが、苦情処理委員会を設け、区民の申し立てを受けて調査するのが大きな特色だ。区や専門家によると、国籍や民族による差別について苦情処理の仕組みを設けるのは「おそらく初めて」という。

■「差別の解消」を規定

条例案は「世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例」。全ての人が「多様性を認め合い、人権が尊重され、尊厳を持って生きることができる」との基本理念を掲げる。

「差別の解消」という項目が設けられ、「不当な差別的取扱いをすることにより、他人の権利利益を侵害してはならない」と定めた。

第7条 何人も、性別等の違い又は国籍、民族等の異なる人々の文化的違いによる不当な差別的取扱いをすることにより、他人の権利利益を侵害してはならない。
2 何人も、公衆に表示する情報について、性別等の違い又は国籍、民族等の異なる人々の文化的違いによる不当な差別を助長することのないよう留意しなければならない。

性的少数者の権利擁護に取り組む中川重徳弁護士は「実質的な差別禁止規定であり、罰則がなくても社会の基本ルールを明示することに意味がある。性的指向や性自認による偏見や固定観念が根強く残る状況で、啓発の意味は非常に大きい」と話す。

■「苦情処理委員会」そのモデルと対象は

苦情処理委は区長の諮問機関で、有識者ら3人で構成する。全国の自治体で男女差別の苦情受付機関として設置されている仕組みをモデルとしており、性的少数者への差別や、国籍や民族による差別にも適用する。

第12条 苦情の申立て等について、公正かつ適切に処理するため、区長の附属機関として、世田谷区男女共同参画・多文化共生苦情処理委員会(以下「苦情処理委員会」という。)を置く。
(略)
5 苦情処理委員会は、審議のため必要があると認めたときは、関係職員その他の関係人の出席を求めて意見若しくは説明を聴き、又はこれらの者から必要な資料の提出を求めることができる。

苦情処理委は関係者から意見聴取などをして区長に意見を述べ、区長は「速やかに調査等を行い、必要に応じて適切な措置を講ずる」と定める。

区は、他自治体の苦情処理委の先行例から、対象を区の業務と想定している。ヘイトスピーチを伴うデモや集会などの施設使用の可否や、性的少数者が公共施設を利用する際の対応に不備がないかなどが該当するとみている。

ただ、差別的な落書きや、動画による名誉毀損、入居拒否や就職差別など、区の業務以外の苦情も、専門調査員が調査して改善要請するなどの対応を検討している。

 

条例案は2017年9月に骨子が発表され、区民らのパブリックコメント(意見募集)や議会の意見を踏まえ、苦情処理委員会の設置などが盛り込まれた。

ヘイトスピーチをめぐっては、2016年に大阪市が、ヘイトスピーチをした人や団体の名前を公表できる抑止条例を制定した。差別的言動を「許されない」とするヘイトスピーチ対策法も、同じ年に国会で成立している。

NGO「外国人人権法連絡会」の運営委員で在日コリアンの金昌浩弁護士は「国籍や民族による差別の解消に踏み込み、苦情処理の仕組みを設けた条例は聞いたことがない。被害者が問題を訴える際の根拠になりうるもので、全国に広がってほしい」と話す。

 

via: 国籍・民族・LGBT差別の解消を明記、苦情処理委を設置へ 世田谷区で条例が成立

 

ダイバーシティ東京へ進む一歩

非常に革新的な制度が出来たようで非常に嬉しく思います。このような制度がどれだけ日本に根付くか、また実効的に機能するかというのは非常に関心のあるところです。差別問題については非常に多くの議論がありますが。まず政府側として見せたい一番の姿勢は「それらをちゃんと聴きますよ」というものであるべきだと思っていました。

 

もちろん個別の議論については十分な注意と丁寧な対話が必要だとは思いますが、まず大前提として様々な差別問題についてきちんと対応するための組織的な準備が為されていないと何も始まりません。どこに苦情を出してよいかもわからないような多様な課題に対して明確な受け入れ窓口が出来たことは大きな変化でありましょう。

 

また、私は個人的に差別というのは「公的な権力が行うもの」だと認識しています。すなわち個人レベルで何らかの民族を嫌う人間がいてもそれは差別的でこそあれ差別ではありません。個人の好みの問題以上に大きなものではありません。しかし国家がやるのであれば話は別です。特定の人種だけ明らかに対応が悪いといった制度になっている場合はそれは明確な差別だといえます。

 

そのような意味でも、今回の制度があくまで公的な部分が関わっている問題にだけ対応するというのは賢明な判断でしょう。ひとつひとつ社会の様々な問題全てについて検討するというのはまず単純に異常なコストが掛かりますし、更に区が取り扱える範囲を超えた場合に考えても無駄になる可能性が十分にあるからです。

 

東京は変われるか

渋谷もダイバーシティを全面に押し出し、いまオリンピックに向けて間違いなく東京は多様性受容に向かって突き進んでいます。これが出来ないことには外国人の受け入れ、彼らに対するホスピタリティというのも画餅になりますから当然のことです。ダイバーシティというとLGBTが大きく取り上げられがちですが、外国人に対するそれも極めて重要です。

 

今回のオリンピックを一つの契機として日本の中心である東京がポジティブな形で変化することで、日本全体にその多様性に対する姿勢が変わっていくのかもしれません。なんでもオリンピックに結びつけるのは節操がないかもしれませんが、どうせやると決めた以上はその効果を最大限素晴らしいものにしていきたいものですね。





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